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薬学部5回生によるブログです。

山岸凉子さん バレエ漫画「アラベスク」ネタバレ

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アラベスク」の魅力をもっとたくさんの人に知ってほしいと思い、書きました。

 

今日は、読んでみようかなと一人でも思ってくださるよう、
アラベスク」のあらすじ、結末(ネタバレ)や、名シーンをお伝えします。

  •   5分で読める 全4巻の内、全巻のラスト直前までのネタバレ
  • 10分で読める 全4巻の内、1巻~3巻のラスト直前までのネタバレ(詳しく知りたい方はこちらがおすすめ)

の2種類用意しています。

美内すすえさんの「ガラスの仮面」(成長していく主人公)
大和和紀紀さんの「ヨコハマ物語」の卯野(片思いの女性)
一条ゆかりさんの「砂の城」のナタリー(繊細な女性)
萩尾望都さんの「トーマの心臓」(複雑な心理描写)


           このような漫画が好きな方もきっと、楽しんでもらえると思います。

 

アラベスク」の魅力をネタバレなしで【ここがすごい】


どんな漫画なの??

アラベスク」は1970年代のバレエ漫画です。
りぼんと花とゆめで連載されて大ヒットしました。
文庫本で全4巻です。

レベルの高いバレエ学校に編入した16歳の少女のお話です。

1971年りぼんにて連載開始された『アラベスク』は、
少女漫画界初の本格バレエ漫画として大人気を得て、
花とゆめに場を移して描かれた第二部では、華麗なイラスト的表現を、
また、少女である主人公が大人の女性へと成長する様子を描くなど、
当時は前人未到であった手法やテーマを積極的に開拓していった。

山岸凉子 - Wikipediaより

 


どうして好きなの??

第一部は、苦しくても頑張らなくちゃならない主人公ノンナに
「この次どうなっちゃうの」とハラハラ、ワクワクさせられ、一気に読んでしまいます。

第二部は、はじめは主人公が複雑な心理状態すぎて意味が分かりませんでしたが、
そんな訳が分からずもやもやする感情を求めて何回も読むうちに、心理描写の凄さに気づいて何度も読み、好きな漫画になりました。


アラベスク」が大好きな方の声をどんどん紹介していきますね。

ノンナがバレエ学校の生徒で、ユーリはその先生。
頑張れるノンナに憧れてしまう。

 

このツイート素敵。

 

深い愛があるユーリ。惚れてしまう。

 


この漫画のすごいところは??


第二部についてです。

複雑な感情が巧妙に表されていていて、作者の技量に驚かされます。

この人だったらどう話すのか、どう答えるのか、
この言葉を聞いたら、彼はどのような表情をして何をするのか、あるいは感情を隠すのか、
登場人物の個性が曖昧でなく、その人ならではの反応がセリフや行動に表れます。

 

性格、感情の描き方に注目です。

第二部の空港のあたりが最高!で、
登場人物の性格によってそれぞれ立ち姿から違いますし、

1コマ1コマが表す感情がそれぞれ違って、
感情の移り変わりの表現に魅せられます

 

人物の体の動きまで先にイメージされてから描かれているのかなと思うくらい、
動きも丁寧です。

会話の一文一文その時の人物の体の移り変わる動きが、映画のようです。

性格、感情がしっかりと伝わり、
体の動きも滑らかに描かれているので、
漫画の中で本当に生きて動いているように感じます。

 

体の美しさもうっとりします。

髪や姿勢の美しさはもちろん、
抱きかかえられた時のスカートの折れ具合や
足先が美しい。

 

そして、セリフ。
全てのセリフ、一語一語から人物の思いがぐるぐると押し寄せてきます。
その言葉選び、その語順じゃないとダメだという
奇跡のような場面ばかりです。

作者はセリフを考えるのにどれだけ時間をかけているのか、
きっと何度も書き直して感情が間違いなくぴったり表せるセリフを見つけている。

手紙が出てくるのですが、
本当に書き手が存在しているみたいに、命が吹き込まれています。

 

いろんな漫画があり素敵な主人公がたくさんいますよね。

アラベスクのノンナは、
明るいが、困難に弱く泣き虫、打たれ弱い、気が弱い、自立できず精神的に弱い。だからこそ悩み、決して満足せず努力します。
基本的に愛は受け身で
男性に対しても何もできない、待ち望むが精神的に弱く傷つきやすい女性です。
性格に共感する部分もあります。


ちなみに他の漫画の、私の好きな主人公
里中満智子さんの描くような、深い愛をもち正義、潔白で優しく芯のある女性
・池田理恵子さんのオスカルやユリウスような、凛々しくて上品さがあるが苦しみを背負い必死に生きる人
・大和和樹さんの卯野や菩提樹のように、健気で努力家、明るくて愛が深い女性
砂の城のナタリーのように繊細でネガティブな女性
など(間違えてたらごめんなさい)いろいろ書きましたが、


もっとたくさんの方の意見を知りたい方はこちら
『アラベスク 完全版 第1部1』|感想・レビュー - 読書メーター

アラベスク」が大好きな方の感想を読んでいると私も嬉しいです。

あらすじ(ネタバレを含みます)

 

アラベスク」は、

1970年代共産体制下のソビエト連邦を主舞台にした長編バレエ漫画。

アラベスク (漫画) - Wikipediaより

まずは、こちらで30ページほど試し読みができるので、利用しましょう。

www.kadokawa.co.jp


全4巻の内、3巻のラスト直前までのあらすじを紹介します。10分ほどで読めます。

【漫画アラベスク】第一部上 ネタバレ


試し読みの部分をとばす

5分で読める全4巻分の簡単なあらすじ(結末は伏せています)は こちら


ノンナ・ペトロワは、16歳。
ウクライナキエフのバレエ学校へ通っています。

高身長のため、180㎝以上のパートナーが必要でありバレエには不向き、そしてダイナミックさはあるが乱暴にみえてしまいバレエの成績も良くありません。

親からも期待されず、才能のある姉が褒められるのを見て涙を流すノンナは、
家で居場所を感じられず家を飛び出しますが、
親に褒められるためにバレエをやっているのではなく、自分にはバレエ以外何もないと思い、夜にバレエ学校で明日の試験の練習をします。

パートナーが高ければもっと腕を伸ばせるのにと思ったその時、背の高い人に手首をつかまれ一緒に踊り続けますが顔が暗くて見えません。

自分でも驚くくらい軽やかに上手に踊れますが、見回りの人が来たため対応していると、もう先ほどの人はいなくなっていました。

翌日、夜に一緒に踊った人のことを考えて眠れなかったノンナは、バレエの試験に遅刻してしまい、一緒に踊る予定だったパートナーはすでに他の人と踊ってしまっていました。

先生であるノンナの母に試験を受けられるよう頼むも、母は視察に来ている人に下手な娘を見せるのは恥ずかしいと思い、踊らせてくれません。

パートナーがいないならと、視察の人の連れが一緒に踊ると、
ノンナは、彼が昨晩踊った人だと確信します。

ノンナをけなす母に、ノンナは生まれもった感覚があるのだと視察の人は言ってくれるのでした。

踊り終わり、一緒に踊った彼が、22歳で賞を取った「金の星」と呼ばれるユーリ・ミロノフだと分かると、ノンナは腰を抜かすのでした。

その後 視察の人々は、是非ノンナにレニングラードのバレエ学校へ来てほしいと言います。

母は、ノンナはそんな実力のある子ではないため、姉の間違いではないかと言い、
ノンナも視察の人を追いかけて姉の方が…と言いますが、
ユーリは姉の成長はあそこまでであり、私たちは未完の大器を求めているのだとノンナに言いました。

ノンナは優秀な生徒ばかりが集まるバレエ学校へ編入し、寮生活することになります。

 

バレエ学校では厳しい試練が待っている??

 

ここをクリックすると、その後のあらすじが見れます。
漫画を読む予定のある方は、必ず飛ばしてください。

試し読みはここまで

 

ノンナは、ユーリ・ミロノフ先生に基礎を特訓され みるみる上達しますますが、
言われることは無理難題で、できたとしても褒められません。

他の生徒は褒められるのを見て、先生は自分をいじめて喜んでいるのだと感じ、先生の面子のために踊らされるのはまっぴらだと怒りが爆発します。

しかし、目先の障害が乗り越えられなくてはバレリーナにはなれないと、先生は突き放しました。

寮の同じ部屋のアーシャは、踊る才能がないからいいのだと言うノンナを、
空間的広がりの大きさという他人にないものがあるのだと励ましますが、
ノンナはキエフに帰るという気持ちを変えません。

数日後、他人が踊るのを見て自分も踊りたくなったノンナは夜中にトウ・シューズを探して学校内を歩いていると、
ミロノフ先生がひとり教室で練習しているのを見つけます。

金の星と言われる先生の努力を知り、少しの特訓でねをあげたことを反省し、先生と和解するのでした。

ノンナはその後も上達し、学年1のマイヤが恐れるほどになります。

また、ノンナはミロノフ先生からひとり大切にされているからか、
先生を好きになってしまうのでした。

ノンナは舞踊「アラベスク」の主役に抜擢され、一躍有名になります。
アラベスク」は大成功をおさめ、さらに映画化されることが発表されます。

映画の主演はラーラという天才少女の予定でしたが、
ノンナの成功と人気によりノンナをおいそれとおろすことができなくなっているため、
ノンナとラーラが瀕死の白鳥を1日交替で踊った結果でどちらが相応しいかを判断されることになります。 

ノンナは、ボリショイ派のはでな踊り方で教えられたため、踊りを自分のものにできません。

新聞でプリマとして前途多難だと批判されたり、
名声と実力のギャップで物にならなかった過去のプリマと同じだとささやかれたりで、
自分に自信が持てず、踊りはよりひどくなってしまいます。

しかし、先生を信じ練習することでだんだん良くなり、
新聞で批判した評論家も評価を覆す踊りをすることができました。

しかし注目されるその翌日、ラーラに
もしノンナが映画の主演に選ばれたらユーリはボリショイ移籍するだろうと
言われ、
動揺したまま公演を迎えます。

【漫画アラベスク】第一部下 ネタバレ



映画「アラベスク」の主役はラーラに決定し、
ラーラに気をつかって優しく接する先生を見て、
先生が遠くに行ってしまったと感じたノンナは傷心し、
行くあてもなく田舎町をさまよいます。

偶然出会った老年のプリマ、オリガが家に置いてくれ、
その後ノンナの正体に気づいたオリガはノンナの世話をしてくれます。

オリガは技術面では劣っているため周りから疎まれていますが、ノンナはオリガの情緒性ある踊りに感動します。

オリガは公演の途中で足をくじき代役を立てることになりますが、
オリガは普段から自分を疎んでいる同じバレエ団の人ではなく関係のないノンナを代役に決めます。

ノンナのことをただの劇場の使用人だと思っているダンサーたちは
自分たちから代役を立てないオリガに怒り恥をかかせるため、
ノンナを失敗させようと企みます。

しかし、パートナーがノンナを支えなくても見事踊りきったノンナは
観衆から大きな拍手をもらいます。

ノンナを支えなかったパートナーは、
バレエを冒とくしたのだとノンナに指摘され反省し、和解するのでした。

その公演を見に来ていたあるプリマによりノンナの居場所が判明し、
また、オリガのおかげでもっとバレエの奥をのぞきたいと思ったノンナは、
ユーリ達のもとへ戻ることができます。

ノンナが逃げ出した間ラーラと踊っていたユーリは、
ラーラに合わせられずパートナーはノンナでなくてはならないことに気づきます。

なので、もう一度ノンナとラーラが勝負することが決まっていました。

勝負のときが来て、自分だけの情緒の世界を踊れたノンナは観客を魅了し、
見事主役を勝ち取るのでした。

アラベスク」の映画により世界のプリマとなったノンナは、
ユーリ・ミロノフと共にフランスのパリ・オペラ座へ客員として招かれます。

そこでノンナは、フランスの天才少女マチューと出会いますが、
女っぽく、ユーリに気軽にキスをするマチューを自分より大人であると感じます。

マチューとユーリは一緒に行動することが増え、
ユーリのことが好きなノンナは悲しんでいたところ、
マチューは公演中に舞台袖で突然倒れ病院へと運ばれます。

ユーリはマチューが白血病であることを周りに打ち明け、
白血病であることを以前ユーリは偶然知ったが、舞台で死ぬことを選んだマチューの意思を尊重し、踊ることを止めなかったと言うのでした。

マチューは今まで貧困の中で兄弟を養ってきており、これからがバレエ一筋でやっていくときでしたが、逝ってしまいます。

ノンナはマチューのバレエへの執念を背負っていくことを誓いソビエトへ帰国します。

ユーリは芸術家として最高の栄誉である賞を受賞することが決まります。
さらに、ノンナもウラノワ賞という学生に贈られるのは異例である賞を受賞します。

それでも、ノンナは自分の力を過小評価し結果自分だけがバレエ界に生き残っているのはラッキーさゆえだと言います。

ノンナはいつも現状に満足し甘えることがない、とどまることしらずであり、私が一番ライバル視しているのだとユーリから伝えられるのでした。


【漫画アラベスク】第二部上 ネタバレ



月日が流れ、ノンナはバレエ学校の最上級生になります。

ある日、ノンナと同じようにミロノフ先生(ユーリ)に拾われたのだという転入生、ヴェータがやってきます
ヴェータはノンナを追い越して見せると宣言します。
ミロノフ先生はノンナよりヴェータに目をかけるようになったため、
ノンナはヴェータに嫉妬を覚えます。

ヴェータは踊りを覚えていることが得意であり、「アラベスク」もノンナよりよく覚えていると言います。
そんな暴言を聞いても満足そうに笑い何も言わないユーリに対する当てつけで、ノンナは、ヴェータがユーリと踊るようにけしかけます。

ユーリはヴェータに味方し踊り、
ヴェータはノンナの踊り方とそっくりに「アラベスク」を踊ったため
ノンナは自分の踊りが見事にやられてしまったことにショックを受けます。
また、ヴェータに味方したユーリをも避けるようになります。

ノンナはバレエ団の定期公演で超一流のキャラクター・ダンサー、エーディクと踊りますが、
エーディクの手が先にいっていてそこへ吸い寄せられるようだったとエーディクに伝えます。
エーディクは悩むような顔をしました。

ノンナの親友のアーシャがデビューする公演の前、
アーシャの妊娠が分かり、
アーシャが踊るはずだったところの一部分をヴェータが代役として踊ることになってしまいます。

翌日の新聞ではアーシャとヴェータが同じにあつかわれ、
心配したノンナやユーリが、デビューの効果が半減したアーシャを訪ねますが、
アーシャはグチひとつ言いませんでした。

ノンナはユーリから、
卒業を延ばし9年生となり、
もう一年勉強するよう勧められます。

学生の間で9年生の話がいきわたると、
ヴェータは、その1年が無駄足であり、
団員になってユーリと踊るのが夢だという冷やかしをも、
そのつもりだと言いきります。

ユーリと組んで踊ることが1年遅れ、
ヴェータにユーリを取られるかもしれないと思ったノンナは、
絶対に今年で卒業すると決めるのでした。

劇場に忘れ物をしたノンナは夜に取に行くと、
舞台でエーディクが新しい振付のアラベスクを練習しています。

ノンナ以外にユーリもその様子を見ており、
ユーリはエーディクに「首をしめてやろうかと思ったね」と、
エーディクはユーリに「なんとしてもこれを日の当たる場所で踊りたいのよ」と言い、
2人が激しいライバルであることをノンナは感じるのでした。

そのあとノンナは、ユーリがヴェータを特訓するために来ていたことを知り、
自分は捨てられたとアーシャに泣きつきます。

アーシャは、ノンナがユーリを好きであっても、
ノンナだけの先生ではないと冷たく納得させようとします。

ノンナは、夫という自分だけの人がいるアーシャに気持ちは分からないと
はねのけますが、ふくれていても何にもならないと思いなおします。
それでも、ヴェータの妹と会うと冷たくしてしまうのでした。
ユーリとエーディクが仲良くしているように見えても、
二人の真の姿はこの前の夜に見たような激しくあらそうライバルです。
ノンナは、ユーリとエーディクのようにはヴェータと表面上でも仲良くできないと思うのでした。

アラベスクの公演直前ユーリは、妹が補導されたと言う警察からの電話に出てほしい、とヴェータに頼まれます。

すぐ戻ると言い出て行ってしまったユーリですが、
開演10分前になっても戻りません。

どうするか議論が起こる中、
ノンナは、自分を置いてヴェータと行ってしまったことに腹を立てて、
また、日の当たる場所で踊りたいと言っていたエーディクを思い出し
「エーディクが踊ります」と言ってしまいます。

エーディクは代役なんかで踊るのはお断りだと言うが、
焦る総裁を見て、役になりきった30分後なら踊ることを宣言します。

エーディクの気迫にみんなが飲まれていました。

振付がいつもと全く違うことに気づいた観客は、
斬新で迫力ある踊りにとても大きな拍手を送り
アンコールの声をあげます。

しかし、アラベスクの振付師は自分の振付を改定されたことに怒り
ユーリに今までのアラベスクをすぐ踊るよう言います。

ユーリは「さんぜんたる黄金色が出てしまった金色の踊りの後に何を見せても観客の目には何もうつりはしない(改変あり)」と言い、
さらに、「私のアリババが今ここで殺された、あなたの「アラベスク」がではなくて私のアリババが(改変あり)」と苦しみを口にしました。

その夜、エーディクが酒を飲んでいたところに、ユーリが出くわします。

エーディクは「(ユーリが)今日の勝利をみとめてこそ(ユーリの)次の進歩があるんだからね」と言い、喜べませんでしたが、
翌朝、エーディクは新聞で絶賛され、
つかの間の勝利を喜びます。

ノンナは、自分がエーディクを躍らせたためユーリが苦しんでいるのだと思いますが、
ユーリを出ていかせたヴェータに、罪をなすりつけようと強く当たります。

そんなノンナを見てエーディクはやれやれと暖かく見つめますが、
ヴェータの話から、
ヴェータの用事は5分もしないで終わったと分かり、
エーディクは、ユーリのおなさけで与えてもらっていた勝利だったと気づきます。

ノンナは、ひとつ笑い声をあげて傷ついた顔で去って行ったエーディクを見て、
自分が彼の代役を恨むようなことを口走り、
ユーリへの意趣返しにエーディクを利用したに過ぎないこと、
そしてそれがユーリとエーディクを傷つけてしまったと思います。

ユーリがノンナにも朝からひとことも何も言わないのを見て、
自分のせいでユーリがこんなにも苦しんでいると感じたノンナは、
精神的に壊れそうになるのでした。

エーディクの勝利の次の日、ユーリは「アラベスク」での跳躍を全て取り去り、
迫力をだすという快挙を成し遂げるが、
精神的にまいっていたノンナは動揺し、ねんざしてしまいます。

ユーリにとって大切な舞台で迷惑をかけたことに対してさらに苦しみ、
さらに追い打ちをかけるように、
急遽ヴェータが代役となったことにショックをうけたことで、
足が動かなくなってしまうのでした。

お見舞いに来たエーディクは、
自身が亡命することを伝え、
ユーリのために踊るのではなく自分のために踊るようになるため、
ノンナも一緒に来ることを勧めます。

ヴェータは卒業コンサートで、ノンナが踊る予定だったせむしの仔馬を
自分が踊ることをノンナに伝えに来ましたが、言いそびれて帰ってしまいます。

劇場で知ったノンナは辛くなりエーディクに家へ送ってもらい、
エーディックにもう一度亡命を勧められます。

その頃劇場ではヴェータが踊っていましたが、模倣はできても自分の踊りが踊れません。
ノンナの信頼を失ってまでした結果にユーリは苦しく顔をゆがめるのでした。

優秀者としては選ばれず故郷に帰ることになったことを
ヴェータはノンナに伝えに来ます。

自分の踊りが踊れず、誰かの代役になれる便利屋にしかなれないヴェータの苦しみをノンナは初めて知るのでした。

ノンナは亡命することを決め、ミロノフ先生に伝えるための会う約束を電話でしますが、
電話をかけることがこれが初めてと気づかされ、
ノンナとユーリの間には何もなかったのだと思い知らされます。

ユーリに会ったノンナは、
ヴェータに対しノンナを追い越すバレリーナを育てたいと言ったユーリの気持ちを確認すると、
ヴェータとノンナに対する残酷さ、冷たさを確信し、
亡命すること、そこで先生の望むように自立するよう努力してみることを告げます。

ユーリはエーディクを訪れ、ノンナの亡命を止めるよう説得しますが、
ユーリのもとでは一挙一動にノンナはハラハラし、足も動かないだろうとエーディクに言われてしまうのでした。

ここから先の第二部の上のラストは、私の一番好きな部分です。
是非、読んでください。


【漫画アラベスク】第二部下 ネタバレ



蒼ざめて透明な真のロマンチックバレエをよく理解できていないので、
もう少し読み込んでから書きたいと思います。

5分で読める簡単な全4巻分のあらすじ(結末は伏せています)
 

第一部上

ある日、ノンナは有名なバレエ学校へスカウトされる。
スカウトしてくれた先生は、超一流の現役バレリーノ。
親元を離れ、遠いバレエ学校へ。
寮生活が始まる。
スカウトしてくれた超優秀&イケメンなユーリから、厳しいスパルタレッスンを受ける羽目に。
周りからは特別待遇を受けていると思われる。
くじけるが、踏ん張り練習を続けるうちに、努力が実り、先輩たちを差し置いて主役に大抜擢。
公演は大成功で映画化まで決定。
しかし、バレエ界の派閥の関係で、映画の主役を降ろされそう。
ノンナの他、主役候補は、ラーラという超絶美人の幼いころから天才と騒がれてきた小柄な少女。
もしノンナが主役となればユーリは事情によりノンナの先生ではなくなるだろうと、ラーラは悪賢くノンナの心を揺さぶる。(ノンナはユーリに精神的に依存している)

 

第一部下

精神へなちょこノンナは主役を決める対決で失敗。
失敗の様子が新聞で報道され酷評される。
ノンナは現実から逃げ、実家に帰ろうとするも、落胆する家族の顔を想像する。
行くあてがない。
所持金は交通費で使いゼロに。
とある田舎のバレエ劇場の近くでさまよっていると、一人の女性オリガが声をかけてくれた。
偶然にもオリガは引退間近のバレリーナであり、後にノンナの正体に気づいたため、ノンナの仕事まで見つけてくれ、家に置いてくれることに。
こうやって数週間、現実逃避をするも、さすがノンナ、バレエを踊ることは大好きなままでいた。
ちなみに、オリガの息子から告白されるが、ユーリのことが好きなので振る。
ある日、オリガ主役の公演で急遽オリガの代役が必要になった。
オリガの最後の舞台であり、代役選びは重要。
そんななか、オリガはノンナを指名。
ノンナのことを素人だと思っている周りは大反対。
公演中、パートナーから支えを外されるいやがらせを受けるも、ノンナは見事踊りきり、逆に観客は、こんな難しいことができるなんて!と熱狂。
観客の一人の超一流バレリーナがノンナであることに気づき、ユーリに連絡を取る。
ユーリが一目さんに駆けつけノンナと抱擁を交わす。(実は相思相愛)
ユーリの計らいでもう一度映画の主役決めの対決を行う。
オリガから新たにバレエの学びを得て、さらにユーリからの愛を受け精神的に安定したノンナは、見事、今回は勝利。
ノンナ主役で映画化され、全世界にノンナの素晴らしさが知れ渡った。
一躍、時の人となり、フランスへ遠征に行く。
マチューという個性的な将来有望なバレリーナと一緒に公演を行うことに。
マチューは貧しい家庭で育ち、今は下の兄弟たちを支える自律した、さらに色気のある女性。
有名バレリーナとなったノンナはこの先、順風満帆に見えたが、ユーリがマチューと過ごしてばっかりで、ノンナは嫉妬してばかり。
公演当日、マチューは舞台裏で倒れ込み、救急車で運ばれる。
実は、白血病であるのに、休養して治療するのではなく、死の直前まで舞台で踊り続けることを選んでいた。
ユーリがマチューと過ごしていたのは、事情を知って相談にのっていたから。
マチューは亡くなる。

第二部上

ヴェータという女の子がユーリにスカウトされてバレエ学校へやってきた。
ノンナと同じ、スカウトされて編入するパターンであるため、お互い敵視する関係に。
ユーリはノンナに全然目をかけず、ヴェータに付きっきりになってしまった。
ユーリからの愛を感じられないノンナは精神が壊れ、足が動かなくなってしまう。(※ユーリとノンナの間には師弟関係しかない、恋愛と思われる行動は一切なし)
この状態が数ヶ月経とうとしていた。
ユーリの同期で親友かつ一番のライバル、エーディクは、個性的な踊りであり、ソ連の人々には受け入れられていなかった。
そのため、ひそかにソ連から亡命することを企てていた。
エーディクは、ユーリと離れることで得られるバレリーナとしてのノンナの幸せを思い、一緒に亡命しようと持ちかける。
ユーリが自分の思いに応えてくれないと確信したノンナは、自分がバレリーナとして自立するため、亡命する決断をした。
でも、空港に着いてさえしても、ユーリと離れることが悲しく涙を流す。
ユーリからの愛は得られないと分かっていても、ユーリのそばでついていきたいと心から願ったノンナ。
搭乗ゲートでの別れの直前、永遠のユーリとの別れを前に、ノンナの足が動く。
ノンナは亡命を取りやめる。

 

第二部下

バレエピアニストのカリンがバレエ学校へやって来る。
超美女のカリンは女子生徒からモテモテだが、朝から酒を飲んでピアノを弾くなど、堕落した性格のようだ。
なぜかノンナはカリンに気に入られてしまい、イヤリングを片耳だけもらうことに。
そのイヤリングはカリンの亡くなった元恋人のものだそう。
数々の意味不明なカリンの言動に惑わされ、踊りにも迷いが出てしまう。
ノンナはコンクールに出ることになったが、すでに有名なノンナは1位を取ることしか許されない。
なのに、技術面を見せられない点数を取りにくい曲で出場することになってしまった。
本番直前、腕にいつもはめて踊るブレスレットが見つからず、泣き出してしまうノンナ。(ノンナは精神力がいまだに弱い)
ユーリの機転の利いた口づけによって、泣き止み、心の安定を取り戻したノンナは、今までになく別次元の上手さの踊りを現し、見事優勝した。
この頃、ユーリはノンナがバレリーナとして精神的に自律できているのを感じ、ノンナの愛を受け入れる覚悟を決めていた。(ユーリがついにノンナを愛そうとしている!)
よって、ユーリにとって一番大切な人となったノンナに、ユーリが名誉ある賞を受賞したことをを一番に報告するため、ユーリはノンナのもとへ向かった。
すると、ノンナはカリンと共におり、なんと、カリンに銃口を向けられる。
その瞬間、ユーリは強い心の苦しみを覚える。
ノンナをかばい代わりに弾丸を受けてしまった!

後に、実は、カリンはユーリを愛していたため、ユーリから愛されているノンナをカリンが愛することで、心を満たしたかったとカリンは直接ノンナに告げる。
また、カリンの元恋人は、自殺をすることをカリンへ連絡したにも関わらず、カリンは助けに行かなかったという過去があり、それを悔やみ心を病んでいることが明かされる。
この過去から分かる通り、カリンは気持ちの表現が苦手であり、だからこそノンナに銃口を向け、ユーリをも撃ってしまったのだ。

ここからラストまで20ページほどです。結末は是非漫画を読んでください。

 

【すでに読んだ方へ】好きな場面と感想

 

 

エーディクとユーリのアリババ

黄金と発光色、このたとえは本当に傑作ですよね。
このあたりはノンナの足のことも描かないといけないのに
こんな名場面を作るのは十分すぎです。
振付師はユーリに思いを言わせてくれてるので感謝しかないです。

新聞の講評が、本当に発行された新聞みたい。
 
167ページ ポーカーフェイスはおたがいさまだろ

感情を人と人との会話で表すことがとても上手だなと思います。

表面上とても仲良くしていますが、お互いを嫌っていると言っても過言ではない関係です。
それを本人たちも自覚していることが分かる場面が巧妙に描かれていますが、
二人の関係性から、エーディクならどんな言い方をして、ユーリはどう答えるのか、最高です。
 
ヴェータとノンナの最後の会話

それまではヴェータに対して嫉妬の感情をもっていたのが、
ヴェータの心の底からの思いを聞いて、
自分とヴェータを同じ生徒として考えられるようになったのだと思います。
おそらくこれがあったから、ノンナは亡命を決断したのだと思います。

涙を流すヴェータ、友達になりたかったと言うヴェータが、初めて心をさらけ出して人間味を感じさせます。
それだけに、今まで対立すると見ていたことを虚しく感じます。

また、どこにいても負けないというノンナの言葉の意味の深さを考えると心が震えます。
 
エーディクとノンナ、ユーリ at 空港

ここが一番好きです。

コルパコワ先生はノンナの思いを本当によく分かっていて大切にしてくれるのが分かって、人柄に心をつかまれます。

エーディクが話す場面のノンナの気持ちは今も完全には理解できていませんが、
エーディクはソビエトから逃れることで自分の踊りが踊れるから、亡命することが直接的な目的になるけど、
ノンナは、ユーリの冷たさに耐えられないことが理由であり亡命することは直接的な目的になっていない、このことがノンナがギリギリになっても苦しむ原因なんだと、理解しています。

エーディクのファッションにも注目です。
亡命するというのにお洒落でしているスカーフは、思いを話す場面でとても映えています。

エーディクがノンナを心配してくれているのも素敵です。
最後手をのせてくれるのも優しさですよね。
 
エーディクの手紙(1回目)やラストのレオとの会話

ユーリの感情が語られることはほぼなくて、
一見常にしかめっ面の一転調子ですが、

ここで、ユーリのノンナへの思いが明かされ、グッときます。

全て読み終わってノンナへの深い思いを全て知ってからユーリの表情を見直してみると
ああ、こう思っていたのかなと一コマ一コマの意味が見えてきて、深い優しさを感じました。
 

 

 

最後に「アラベスク」を読みたくなった方へ

 

私の経験上、BOOKOFFで「アラベスク」の漫画を全巻見つけるのにはかなり難しいです。
文庫本は一度も見たことがないですし、A5判の本は1冊だけ一時見かけました。

Book LiveBOOK WALKERdブックでは、電子書籍で全4巻6160円。
Kindleでは、電子書籍で全4巻5544円です。

A5判の本ではAmazonで全4巻7040円です。
漫画全巻ドットコムなら中古A5判の本で7600円です。

どこも高いですよね。大学の教科書なみに高い(笑)

でも、Amazonの中古で文庫本全4巻1500円ほどで出ていました。
残り36中古品とありますが、状態の良さと値段を考えると実質15くらいしかなさそうです。
中古だと心配ですが、特に悪いレビューもないですし、状態を画像で見れます。

50年も前の漫画だと躊躇しがちですが、バレエ漫画の金字塔です。
感動すること間違いなし、宝ものになるので、是非ご検討ください。

www.amazon.co.jp






山岸凉子さんって??

作者である山岸凉子さんは、『日出処の天子』の作者です。
日出処の天子』…

主人公である聖徳太子が超能力、及び霊能力者であり、また生育環境が原因の同性愛者であるという設定は当時センセーションを巻き起こした。

山岸凉子 - Wikipediaより

山岸凉子さんの代表作です。

当時は一色塗るたびにベッドに倒れ込んで、気力を充実させてまた起き上がって描く、というのを繰り返していました。

「一色塗るたびにベッドに倒れ込んで……」 画業50周年・山岸凉子が語る『日出処の天子』を描いていたあの頃 | 文春オンラインより

 

そんな素晴らしい絵がいくつか紹介されているので、是非ご覧ください。
私は一時期スマホの待ち受けにしていたくらい好きです。

spice.eplus.jp

山岸凉子さんの「アラベスク」が好きになってもらえたら嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。