塩基性の強さが何で決まるのか疑問に思ったことはありませんか?
電気陰性度と原子の大きさで決まります。
⁻NH₂ HO⁻ F⁻ Cl⁻ Br⁻ Ⅰ⁻の塩基性を比較しながら説明します。
根本的に理解して、どんな問題でも塩基性の強さが分かるようになりましょう。
まずは、塩基性の話でよく出てくる言い回し(特徴)を理解できるようにしましょう。
時間がない方は飛ばしてくださいね。
強塩基と弱塩基それぞれの特徴を一目で分かるようにまとめました。
強塩基(弱酸) | 弱塩基(強酸) |
プロトンと共有していた電子を容易に受け入れない | プロトンと共有していた電子を容易に受け入れる |
電子をうまく共有できる | 電子をうまく共有できない |
Hをくっつける | Hを放す |
非共有電子対を出す | 非共有電子対をもらう |
では、1つずつ見ていこうと思います。
プロトンと共有していた電子を容易に受け入れる
強塩基(弱酸) | 弱塩基(強酸) |
プロトンと共有していた電子を容易に受け入れない | プロトンと共有していた電子を容易に受け入れる |
どういうことでしょうか?一緒に考えていきましょう。
まずはじめに、プロトンとは、H⁺のことですよね。
ある原子がHと結合しているとき、その原子とHの間には共有電子対があるわけです。
しかし、何らかの理由でその原子が共有電子対を引き付けることがあります。
すると、H⁺と陰イオンに分かれるのです。
これが、「プロトンと共有していた電子を容易に受け入れる」ということです。
もう一度表を見て見ましょう。
強塩基(弱酸) | 弱塩基(強酸) |
プロトンと共有していた電子を容易に受け入れない | プロトンと共有していた電子を容易に受け入れる |
塩基性が弱いものは、「プロトンと共有していた電子を容易に受け入れ」やすいです。
その理由は、電気陰性度が大きいこと、または、原子半径が大きく電子密度が小さいので安定であること、あるいは原子半径が大きく分極率が大きいため、極性が生まれやすいことです。詳しくは こちら
電子をうまく共有できない
強塩基(弱酸) | 弱塩基(強酸) |
電子をうまく共有できる | 電子をうまく共有できない |
これは、先ほどの「プロトンと共有していた電子を容易に受け入れる」話と同じことを表しています。
ある原子がHと結合しているとき、
何らかの理由でその原子が共有電子対を引き付け、
H⁺と陰イオンに分かれます。
この状態を、原子とHの間に「電子を共有できない」といいます。
もう一度表を見てみましょう。
塩基性が弱いものは、「電子を共有しにくい」です。
その理由とは、電気陰性度が大きいこと、または、原子半径が大きく電子密度が小さいので安定であること、あるいは原子半径が大きく分極率が大きいため、極性が生まれやすいことです。詳しくは こちら
Hを放す
強塩基(弱酸) | 弱塩基(強酸) |
Hをくっつける | Hを放す |
これは理解しやすいですね。
塩基性が弱くなると、酸性が強くなります。
ちなみに、逆も言えて、塩基性が強くなると、酸性が弱くなります。
また、
ブレンステッドの定義により、酸性が強いということは、Hを放すことだと定義されています。
このことから、「塩基性が弱いとHをはなす」というわけです。
4 非共有電子対をもらう
強塩基(弱酸) | 弱塩基(強酸) |
非共有電子対を出す | 非共有電子対をもらう |
ルイスの定義は、
電子対を受け取る物質が酸
電子対を放出する物質が塩基
と定めています。
- 塩基性が弱い=酸性が強い
- 電子対を受け取る物質が酸
この2つのことから、塩基性が弱いと「電子対を受け取る」と言えます。
では、具体的な陰イオンで塩基性を比較できるようにしていきましょう。
塩基性の問題でよく聞かれる代表的なものとして、 ⁻NH₂ HO⁻ F⁻ Cl⁻ Br⁻ Ⅰ⁻ を考えます。
塩基性がこのようになる理由を解説していきます。
実は、横の列と縦の列、
それぞれ異なる理由によって塩基性の強さが決まっているのです。
まずは、横の列について説明していきます。
⁻NH₂ HO⁻ F⁻
周期表の右上のFの方にいくにつれて、電気陰性度が大きくなります。このことは、暗記していますよね。
電気陰性度が大きいということは、電子対を引きつけるわけです。
ブレンステッドの定義より、電子対を受け取る物質が酸なので、
Fの方にいくにつれて酸性が強くなるのです。
酸性が強いことは塩基性が弱いことと同じなので、
Fの方にいくにつれて塩基性が弱くなるとも言えます。
以上で、横の列の塩基性を説明できました。
次は、縦の列です。
F⁻ Cl⁻ Br⁻ Ⅰ⁻
先ほどの横の列では、電気陰性度から考えていきました。
しかし、縦の列では、原子の大きさが、電気陰性度よりも大きく影響を与えるのです。
従って、縦の列では原子の大きさから考えていきます。
Ⅰ⁻の方にいくにつれて、軌道の数が増えます。
軌道が外側に増えていくので原子が大きくなっていくわけです。
すると電子はより広い空間に分散できるようになります。
分散するので、電子密度が小さくなります。
電子密度が小さい方が安定です。(←この一文は、他でも使うので暗記しておきましょう)
安定ということは、存在しやすいということです。
よって、原子が大きいほど、存在しやすいと考えられました。
このとき、存在している状態は陰イオンとなっていてHを放している状態なので、塩基性は弱いと言えます。(下に行くほど存在しやすい。上の方の陰イオンは存在しにくく、H⁺と結合してしまう、つまり、塩基性は強いと言える)
これらのことから、原子が大きい方が塩基性が弱いと言えるわけです。
以上で、縦の列の下に行くほど原子が大きくなり塩基性が弱くなることを説明できました。
塩基性の判断ができるようになったので、次は塩基性が関わる反応を実際に見ていこきます。
塩基性は脱離能や求核性を決定します。問題に出されやすいところです。
SN2,SN1
1.脱離能
2.求核性
脱離能
弱塩基の方が脱離能は高いです。
塩基性が低い、つまり酸性が強いので、プロトン(H⁺)を放し、陰イオンが生成しやすく、陰イオンで安定して存在しています。
脱離の反応は、生成物に陰イオンがあるので、反応は右に進みやすいと言えます。
HI→H⁺+I⁻
ちなみに、原子半径が大きい方が分極率が大きい。
分極率が大きいから、極性が生まれ、共有電子対を引き付けて陰イオンに分かれることができると考えることもできます。
求核性
塩基性が強い方が求核性が高い。
ルイスの定義より、塩基性が強いと電子対を放出しやすいので、求核性が高い。
ちなみに、負電荷をもつ求核剤はより求核性が高い。
求核性が高い(負電荷をもつ)とSN2
求核性が低い(負電荷をもたない)とSN1が起こります。
どうしてそうなるのかは、またいずれ書きます。
E2,E1
求核性
SN2,SN1と同じ。
下の2つは私のメモとして載せます。いずれ、しっかり書きます。
参考 ブルース有機化学P71,73470,471
間違ってたら教えてください😅
雑談
あぁ、難しかった~
ブログに書くとよい復習になります。
お役に立てられたらとても嬉しいです。
読んでくれてありがとうございました!!