薬学部はどのようなことを勉強するのでしょうか?
「講義の内容は?」
薬学部4回生が、薬学部の勉強内容を分かりやすくお伝えします。
また、
「勉強についていけるのか?」
心配ですよね。
この点についてもお伝えします。
講義
薬学部で受ける講義はどのようなものがあるのでしょうか?
1つずつ見ていきましょう。
病態や治療
などが詳しく分かるようになります。
生薬
- 根や葉などの実物を見て、体にどう効くかが分かります
- 100以上の植物の知識をインプットできます
生薬を見て、どんな効き目があるのか分かるようになります。
植物が好きな方にとって、最高の講義ですよね。
生薬は、便秘薬などの多くの市販薬にも使われるので、卒業後もためになる講義です。
有機化学
- 反応での電子の動きがイメージできる
- 作りたい化合物の反応式が書ける
パズルなど頭を使うことが好きな方に向いています。
薬の合成方法を理解できるとともに、医薬品化学という科目では、なんと、構造から薬の名前が分かるようになります。
薬理
- 薬が効く理由が詳しく分かる
- 人それぞれに適した薬が分かる
薬が体のどこで、どんな動きをしているのか分かります。
皆さん気になっている副作用についても学べます。
実験
ここまで座学の講義について説明してきました。
しかし、薬学部は、座学の講義だけではなく、実験の時間があります。(大学によってはない場合もあります)
- 高校や中学とは違い、2人1組、各自のペースで進めていき、楽しいです。
ただ、自力で実験しなければならない分、頭を使って、しんどく感じることも。 - 1日3時間ずつ、週に2、3回あります。
- レポートは、1日の実験で2~5ページほど出ます。
薬学部が忙しいと言われるのは、これが理由ですね。 - テスト1ヶ月ほど前からは、実習がなくなり、テスト勉強に取りかかります。
では、それぞれの科目について、どのような実験か例を説明していきます。
有機化学
- 持参したティーパックから、カフェインを抽出します。
簡単そうに見えて、3時間もかかる実験です。
頑張ったのに、私は収率がゼロでした。
失敗があるからこそ、成功したときの喜びが大きいです。
仲間で教え合いながら、わいわいせっせと実験して、楽しいです。
生薬
- 市販の漢方薬を使って、目視や顕微鏡で材料を当てます。
生薬をすり鉢でゴリゴリすり潰して、実験に使ったりもします。
分析
- 滴定をします。フラスコの中がカラフルな色になるのを楽しめます。
滴定をすると、カラフルな色に一瞬で変化します。
学生の中でもこの実験の人気は高いです。
微生物
- 菌を培養、染色し、顕微鏡で観察します。
染色は、単純な作業ですが、かなり難しいです。
上手くいくかどうか考えて楽しいです。
中学校の頃の顕微鏡を使う理科の授業が好きだった人は、この実験にハマるでしょう。
薬効
- マウスの採血をします。
動物実験を経験します。
興味のある方には、是非オススメします。
勉強の量
薬学部の講義、実験についてお伝えしてきました。
勉強内容は分かったところで、では、勉強時間はどれくらいなのでしょうか?
参考までに私の勉強時間をお伝えします。
通常
平日は、通学中の30分ほどと、家に帰って課題に取り組む1時間ほどのみです。
課題の量は、平均すると1週間で合わせて6時間くらいです。
課題の内容は、1週間分の例を挙げると、
- 実験のレポートが4時間
- 有機化学の問題演習が1時間
- 講義の感想レポートが1時間
です。
答えを友達や先輩に見せてもらったり、授業中に進めるなどして、手を抜けば、課題の時間は2時間ほど短縮可能です。
土日は、課題に追われていなければ、基本的に勉強時間はゼロです。
テスト1ヶ月前
テスト1ヶ月前になると、実験がなくなり、午後から授業がないか、遅くても4時半ごろには授業が終わります。
よって、1日2、3時間勉強します。
ただし、テスト一週間前から、または前日のみしか勉強しない人も多くいます。
テスト前の土日、テスト期間
食事と風呂、バイト以外の時間は、1日中勉強します。
ちなみに、バイトは土曜日だけ4時間入れています。
- テスト前の土日は、7~10時間
- テスト期間中は、8時間
です。
ほとんどの人がこのくらい勉強しています。
長期休み中
長期休みは、全く勉強していません。
バイトを多く入ったり、映画を観たり、ブログを書いたりと、好きなことをしています。
試験勉強
勉強時間についてお伝えしてきましたが、大学の試験勉強とは具体的に何をすれば良いのでしょうか。
試験勉強の流れ
それでは、試験勉強の流れを説明します。
- 授業で配布される演習問題を解き、暗記する
演習問題を解くのに、1科目2時間はかかります。
暗記するのにも、1科目2時間かかります、 - 過去問を4年分解く
過去問を1年分解くのに、1時間はかかります。
4年分なので、4時間かかります。
(できたら4年分ほど解くと良いということで、決まりはありません) - 過去問を理解し、暗記する
理解し暗記するのに、2.と同じだけ、あるいは2.以上に時間かかります。 - 過去問以外に、試験に出そうなところを暗記する
まず、配布された授業プリントを一通り読むのに、3時間はかかり、試験に出そうなところを暗記するのに1時間はかかります。
以上をまとめると、試験勉強は、1科目16時間かかるということです。
是非、試験1ヶ月ほど前から勉強を始めましょう。
試験勉強の時間がとれない場合は、
- 授業で配布される演習問題を解き、暗記する
答えを見ることで、時間を短縮し、2時間で終わらせます。 - 過去問を2年分解く
友達に過去問の答えを見せてもらい、時間をかけません。 - 過去問を理解し、暗記する
2時間で暗記します。
以上の勉強の仕方では、4時間で試験勉強が終わります。
この4時間だけの勉強方法が通用する、簡単な試験は半数ほどです。
十数科目中、3つしかない時期もあります。
つまり、10科目近く、16時間ずつ勉強しなければならないということなのです。
試験の難易度
周りの様子を見ると、テスト前日のみ8時間の勉強では、十数科目中、1~3科目ほど落ちます。
3科目ほど落とすと、再試でも落とす場合が多く、成績下位となります。
試験に落ちる人はどれくらい?
実際のところ試験に落ちる人はどれくらいなのでしょうか。
科目によって違い、優しい先生の場合、1人のこともあれば、信憑性は低いですが、厳しい先生だと3割以上だとか?
再試にも落ちる人は再試の人の1割ほどかと私は推測しています。
注意したいのが、本試験よりも再試験の方が受かりにくいということです。
原因は、再試の難易度が高く、再試には出席点がないことです。
留年する人はどれくらい?
私の大学では、毎年2%ほどだと思われます。
退学する人はどれくらい?
大学によって差がかなりあります。
薬学部の進級率・退学率・国家試験合格率は…2022年度調査 | リセマム
退学する理由としては、勉強についていけなくなったとは聞いたことがなく、医学部に合格したからという理由が多いです。
研究
ところで、4回生からは研究をすることご存知ですか?
授業はほぼなくなり、研究室で1日を過ごすことになります。
他の学部との違い
薬学部の勉強内容、勉強時間がお分かりいただけたでしょうか。
気になる点がありましたら、お気軽にお尋ねくださいね。
ここからは、薬学部特有の特徴についてお話していきます。
進路選択のヒントになれば幸いです。
国家試験対策
6回生の2月には薬剤師国家試験を受けます。
よって、1年ほど前から勉強を進めなければなりません。
ただし、研究室によっては、教授の方針で研究をしなくてはならず、十分な勉強時間が取れないこともあります。
大学の授業で国家試験の対策はしてくれますが、もちろんそれだけの勉強では合格できません。
薬学部に入って講義を真面目に聞いていれば、国家試験に受かると考えるのは間違いです。
各自で勉強の計画を立てて、国試対策をしましょう。
実験が多い
週に2、3日は実験があり、テスト1ヶ月ほど前まで続きます。
知らなかった方も多いのではないでしょうか。
手を動かすことが好きな方はおすすめです。
がっつり講義があるのは3年間のみ
4回生からは1日中研究をするので、講義がメインとなるのは、3回生までです。
6年も薬学部で勉強するのは長いと思っている方は、実際に勉強するのは3年間ほどで、その後は各自で国家試験の勉強をしていくと考えれば、薬学部の印象が変わるのではないでしょうか。
3年間、研究室で過ごす
4回生からは研究室で1日を過ごすようになります。
研究室では、社会人となり仕事をこなしていく感覚に近いです。
大学で講義を受けるというイメージしか持っていなかった方は、研究を3年間もするのかと新たに知っていただけたら嬉しいです。
読んでくれてありがとうございました。
薬学部のイメージが少しでも持てるようになれたのなら嬉しいです。
薬学部の1日のスケジュールをもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
薬学部入学前の準備についてはこちら。
薬学部の参考書についてはこちら。